旅と感覚|くすしき
2026.09.30
温泉に入って、美味しいものを食べて、寝る。それだけでもいい。
みなさんは、「湯治(とうじ)」という言葉をご存知ですか?
温泉地に何日も滞在して、温泉に入りながら、ゆっくりと体を休める。
文字通り「湯で治す」。
昔から日本に伝わる、温泉地での過ごし方です。
くすしきのある四万温泉も、古くから湯治のお客さまで賑わってきた温泉地でした。
そもそも温泉地というのは、今のように観光をしたり、温泉街で食べ歩きをしたりするためだけの場所ではありませんでした。
温泉に入る。
ごはんを食べる。
休む。
また温泉に入る。
そして、眠る。
そう考えると、
「温泉に入って、美味しいものを食べて、寝るだけ」
というのは、実は温泉地での過ごし方の王道なのかもしれません。
それだけでも、なんだか体も心も軽くなってくる気がします。
「世のちり洗う、四万温泉」

ここで、もうひとつ質問です。
「世のちり洗う、四万温泉」
という言葉を聞いたことがありますか?
これは、群馬県民ならおなじみの「上毛かるた」に登場する、四万温泉の読み札です。
上毛かるたが誕生したのは昭和22年(1947年)。
「世のちり」というのが何を指すのか。
忙しい毎日の中で、体や心に少しずつ溜まっていく疲れのようなものでしょうか。
それを温泉で洗い流す。
なかなかいい言葉だと思います。
そして、もうひとつ。
四万温泉は「国民保養温泉地」の第一号でもあります。
国民保養温泉地とは、温泉の効能だけでなく、周囲の環境なども含めて、保養に適した温泉地を国が指定する制度です。
昭和29年(1954年)、四万温泉は酸ヶ湯温泉、日光湯元温泉とともに、最初の国民保養温泉地に指定されました。
上毛かるたでは「世のちりを洗う」。
国からは「保養に適した温泉地」として、最初に指定される。
そう考えると四万温泉は、ちょっと大げさに言えば、
「元祖・癒しの温泉地」
なのかもしれません。
くすしきは、ちょっと変わった宿です。でも。

さて。
ここまでこの「旅と感覚」で、くすしきについていろいろ書いてきました。
デジタルデトックスのこと。
五感のこと。
何もしない旅のこと。
そして、「変わった宿」のこと。
こうして並べてみると、
「なんだか、難しそうな宿だな」
と思われているかもしれません(笑)。
たしかに、くすしきは少し変わった宿です。
テレビがない。
スマートフォンや時計をしまうための箱がある。
コーヒーや紅茶ではなく、四万の野で採れた植物からつくった野草茶を飲む。
料理には、手で食べることをおすすめする一皿もある。
衣、音、香りまで、くすしきのためにつくられています。
でも、ここまで書いてきてなんですが、くすしきで、何か特別なことをしなくてもいいんです。
スマホを箱に入れなくてもいい。
五感を意識しなくてもいい。
何かを感じ取ろうと頑張らなくてもいい。
元祖・癒しの温泉地、四万温泉に来て、
温泉に入って、美味しいものを食べて、寝る。
それだけでも、もちろん大歓迎です。
何もしなくても、一日がちゃんと成立する宿

くすしきは、たった2室の宿です。
お部屋には温泉があるので、好きなときに、好きなだけ温泉に入れます。
夕食も朝食も、お部屋の中にある個室ダイニングで。
テラスに出れば、目の前には四万川と山並みが広がっています。
季節によって景色が変わり、朝と夕方でも光が変わる。
テレビもありません。
そして、もともと静かな四万温泉の中でも、くすしきがある温泉口地区はさらに静かな場所です。
チェックインしたら、川の音を聞きながらのんびり散歩に出てもいい。
本を読んでもいい。
昼寝をしてもいい。
もちろん、何もしなくてもいい。
逆に、チェックアウトまで一歩も外に出なくてもいい。
温泉に入る。
美味しいものを食べる。
眠くなったら眠る。
朝になったら、また温泉に入る。
くすしきは、そんな一日でもちゃんと成立する宿です。

もしかすると、今こそ「湯治」なのかもしれません
昔の湯治客のように、何週間も温泉地に滞在するのは、今の私たちにはなかなか難しいでしょう。
でも、一泊や二泊なら。
スマートフォンを持っていてもいい。
仕事のことを完全に忘れられなくてもいい。
何か特別な体験をしなくてもいい。
ほんの少しだけ日常から離れて、
温泉に入る。
美味しいものを食べる。
そして、よく眠る。
古くから伝わる「湯治」という過ごし方ですが、毎日がせわしなく過ぎていく今の時代にこそ、案外必要なのかもしれません。
「温泉に入って、美味しいものを食べて、寝るだけ」。
くすしきでは、それだけでも大歓迎です。
くすしきについて
群馬・四万温泉にある、
2室だけの小さな宿です。
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