2026.09.26

変わった宿、個性的な宿を探しているなら。四万温泉に2室だけの「くすしき」があります

四万温泉の2室だけの宿「くすしき」の客室と窓の向こうの森

四万温泉に、たった2室だけの宿「くすしき」がオープンしました。

実は、この宿のプロジェクトはかなり前から進めていました。
途中、コロナ禍で中断した時期もありました。

そして、くすしきをどんな宿にするのか考えていたころ、世界中の「変わった宿」「個性的な宿」をいろいろ調べたことがあります。

氷の中で眠るホテル。
木の上にある客室。
山道を歩かなければ辿り着けない温泉宿。
驚くほど強い酸性の温泉に入る宿。

へぇ、世の中にはずいぶん個性的な宿があるんだなぁ、と驚いたことを覚えています。
では、くすしきも「変わった宿」をつくろう。
……とは、なりませんでした。

変わった宿をつくろうとしたわけではありません

くすしきがある四万温泉は、不思議な場所です。

大きな観光施設がたくさんあるわけでもない。
夜遅くまで遊べる場所もほとんどない。
便利かと聞かれれば、決して便利でもない。

それなのに、なぜかまた来たくなる。

私自身、長くここに暮らしていますが、四万温泉には言葉ではうまく説明できない魅力があると思っています。

山がある。
川がある。
千年以上、人々に愛されてきた温泉がある。
そして、かつて山岳信仰や修験とも関わりのあった土地でもあります。

そうした自然や温泉に宿る、言葉にならない力に身をゆだねて、人が本来持っている感覚をもう一度呼び覚ます。
そこから、
「宿る感覚が、目覚める感覚。」
という、くすしきのコンセプトが生まれました。

そのために、普通の宿にあるものを少しずつ削ぎ落としました。
逆に、残したものには新しい解釈を加えました。
そして四万温泉という土地から、山岳信仰や山伏のエッセンスも取り入れました。

言葉だけでは少し伝わりにくい宿なので、よろしければ映像でもご覧ください。

そうやって一つひとつ考えていった結果――
意図していたわけではないのですが、

くすしきも、かなり「変わった宿・個性的な宿」になりました。

たった2室しかありません

くすしきの客室は、2室だけです。

大浴場でたくさんの人と一緒になることもありません。
滞在中、スタッフ以外の誰にも会わないまま一日が終わるかもしれません。

旅館というより、しばらくこの場所に「住む」。
そんな感覚に近い宿を目指しました。

スタッフも、お客さまも、同じ衣を纏います

スタッフも、お客さまも、同じ衣を纏います

くすしきには、この宿のためにつくられた「衣」があります。
一般的な旅館の浴衣とも、ホテルの館内着とも少し違います。

そして面白いことに、お客さまだけでなく、私たちスタッフも同じものを纏います。
迎える人と、迎えられる人。
その境界を少し曖昧にして、

みんながしばらく「くすしきの住人」になる。

そんな意味も込めています。

聞こえる音も、くすしきだけのもの

館内には、くすしきのためにつくられた音楽が流れています。
その音楽の中には、実際に四万温泉で収録した自然の音も織り込まれています。

川の音。
風の音。
鳥の声。

そして、その音楽に、窓の外から聞こえてくる本物の四万川や風、雨の音が重なります。

どこまでが音楽で、どこからが今、この場所で鳴っている音なのか。

ふと、その境目がわからなくなることがあります。
音楽を聴くというより、四万の音の中にいる。
そんな時間をつくるための、くすしきの音です。

香りも、四万から

香りやアメニティにも、この土地のものを取り入れています。

香りやアメニティにも、この土地のものを取り入れています。

四万で採れた植物の香り。

どこにでもある「いい香り」ではなく、ここに来たから出会う香りです。
目で見るだけではなく、耳、鼻、肌、舌。
宿で過ごす時間そのものを、五感で感じてもらいたいと考えました。

テレビはありません。スマホをしまう箱はあります

くすしきの客室にあるスマートフォンをしまうための箱

客室にテレビはありません。

その代わり、スマホや時計をしまうための小さな箱があります。

もちろん、スマホ禁止ではありません。
しまうかどうかは、お客さまの自由です。

でも、せっかくなので一度くらい、箱に入れてみるのも面白い。

これは以前書いたデジタルデトックスの旅にもつながります。
普段いつも見ているものを一つ減らすと、その代わりに見えてくるものがあるかもしれません。

コーヒーも、紅茶も、緑茶もありません

これも宿としては、ちょっと変わっているかもしれません。
くすしきには、コーヒーも紅茶も緑茶も用意していません。

あるのは、四万の野で採れた植物からつくる野草茶。

「旅館だから緑茶」
「朝だからコーヒー」
という、いつもの習慣から少し離れてみる。
それも、くすしきでの小さな体験です。

料理は、手で食べてもいい

四万温泉 くすしきの料理イメージ

食事にも、少し変わったところがあります。

くすしきの料理が考えているのは、
「食べるとは何だろう?」
という、とても根源的なこと。

料理によっては、箸を置いて、手で食べることをおすすめします。

もちろん強制ではありません(笑)。

手で触れる。
香りを嗅ぐ。
口へ運ぶ。
味わう。

普段あまり意識しない「食べる」という行為そのものに、少し意識を向けてみる。
これも、くすしきが大切にしている感覚の一つです。

そして、千年以上続く四万の湯

四万温泉くすしきのお風呂

いろいろ変わったものを並べてきましたが、くすしきの中心にあるものは、とても古いものです。

四万温泉の湯。

千年以上にわたって、人々がこの山の中までやって来た理由の一つです。

新しい宿をつくるからといって、すべてを新しくする必要はありません。
新しく解釈するもの。
なくしてみるもの。
そして、ずっと残すもの。
その組み合わせが、くすしきです。

宿泊料金まで、お客さまが決める?

そして現在、もう一つ変わったことをしています。

期間限定ですが、くすしきでは「こころ値」という宿泊方法を実施しています。

宿泊前に決められた料金を支払うのではなく、実際に泊まったあと、その滞在にどんな価値を感じたかによって、お客さま自身に宿泊料金を決めていただく仕組みです。

ここまで来ると、やっぱり少し変わった宿かもしれません(笑)。

引き算したら、個性的な宿になりました

テレビをなくす。
いつもの飲み物をなくす。
スマホをしまってみる。
2室だけにする。

何かをたくさん足して「特別な宿」にするのではなく、むしろ少しずつ引いていく。
そうすると、空いたところに別のものが入ってきます。

川の音。
野草の香り。
温泉の感触。
食べ物に触れた手の感覚。
一緒に来た人との会話。
自分の中にあった感覚。

くすしきが目指しているのは、感性を強く「刺激する」というより、
本来自分の中にある感性を呼び戻すこと。

結果として、それがくすしきの「個性」になったのだと思います。

くすしきの使い方は、ご自由に

とはいえ、
「くすしきでは、このように過ごしてください」
という正解はありません。

何も計画せず、何もしない旅にしてもいい。
スマホを箱にしまって、デジタルデトックスをしてみてもいい。
料理と温泉だけを楽しんで、あとは自由でもいい。
買ったまま読んでいない本を何冊も持ってきて、積読から濫読へ。
写経をする。
スケッチをする。
昼寝をする。


そして、

結局、本当に何もしなかった。
それでもいい。

変わった宿だからといって、変わったことをしなければならないわけではありません。

くすしきで、
ご自身だけの、少し変わった過ごし方を見つけてください。

くすしきについて

群馬・四万温泉にある、
2室だけの小さな宿です。

くすしきを知る →

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